本展は、丸紅が所蔵する400点以上の染織品コレクションの中から、能装束に焦点を当て紹介するものです。
室町時代に世阿弥によって大成された能楽は、桃山時代に戦国武将を中心に愛好され、江戸時代には武家の式楽(※)として大名らによって嗜まれた長い歴史を持つ日本の伝統芸能です。丸紅の前身である丸紅商店時代に発足した「染織名品研究會(名品會)」では、大正時代末期から昭和時代初期にかけ、呉服制作の研究資料として染織作品の蒐集を行っていました。その中で、名品會は日本の染織技術の粋が集められた衣装として能装束に注目し、大名家伝来品を含む江戸時代から明治時代の能装束を蒐集して、古来の技術や意匠の探究・創作を行いました。
本展では、名品會により蒐集された江戸時代から明治時代の能装束と装身具、国立能楽堂所蔵の能面を展示し、能装束に秘められた格調高い日本の美意識を紹介します。
(※)公的な儀式で演じられる芸能。