この度、東京農工大学科学博物館では企画展「女子蚕糸業教育—学理を学ぶ—」展を開催します。
一般的に、戦前の女性に対する科学技術教育は、医学や看護等特定の分野を除き低調であったと考えられがちですが、蚕糸業領域では明治期より「女子蚕病予防吏員」「製糸教婦」などといった中間技術指導者が登場し、女性指導者や技術者として活躍しました。本学工学部の前身である蚕業講習所は官営の中央教育研究機関であり、明治35年に女生本科が設けられ、技能の修練並びに学理的な内容の指導がおこなわれました。製糸教婦科卒業生は工場での指導の他、各地の繭検定所や試験所で働き、専門領域を支える立場として活躍しました。このような高度な人材育成システムが早くからあった事実は、一般にはよく知られていません。
今回の展示では女子蚕糸業教育での活用を想定して制作された教科書『製糸の鑑』(明治41年発行)や、東京農工大学科学博物館に残る教材類に焦点を当ててご紹介します。また本学最後の製糸教婦であった小此木エツ子氏のインタビュー動画を展示室内にて放映します。
また、併せて本学女性未来育成機構の取り組みと現在の学内における女性研究者の研究活動紹介パネルを公開します。