室町時代に大和猿楽の観阿弥・世阿弥親子によって大成された「能楽」は、その後、幕府や諸大名の保護のもと、江戸時代に至って「武家の式楽」としての地位を確立しました。式楽であるがゆえに、その内容は格調高く幽玄であると同時に、そこで使われる能装束は雅で華麗な趣を湛え、見る者の目を楽しませてくれます。当館では、因州(鳥取藩)池田家伝来の能面と備前(岡山藩)池田家の能装束を多数所蔵していると同時に、久留米旧藩主有馬伯爵家旧蔵といわれる狂言面もコレクションに含まれております。今までにも能面・能装束に重点が置かれた展覧会が多く開催されてきましたが、この度は、狂言にやや焦点をあてた展示となっています。能関係では約5年ぶりとなる本展では、修理が完了した「紅白段業平菱菊模様唐織」と「紫地葡萄蔦模様長絹」を公開すると同時に、能・狂言の演目を描いた絵画資料や能道具などの当館所蔵の作品を中心に展示致します。
2025-03-24