17,000を超える島々からなるインドネシアは世界最大の群島国家であり、現在でも数百をかぞえる民族が暮らす多民族国家としても知られています。これらの民族が歩んできたのは、インドや中国をはじめとするアジア諸国との交易、イスラム文化の渡来、そしてオランダ商船の来航といった出来事がもたらした植民地化、民族独立運動、さらには第二次世界大戦中の日本軍による占領とその後の完全独立といった歴史でした。こうした異国とのせめぎ合いの中で、外来文化の影響を受けながらも民族ごとの特色が際立つ染織文化が形成されていきました。
とりわけ「イカット」の名前で総称される絣織は、地域・民族ごとに異なる技法や文様により伝えられているものです。一方、「バティック」として知られるろうけつ染では、驚くほど緻密に描かれた文様が、ヨーロッパ、中国、日本など諸外国のデザインと融合しながら展開する様子がみられます。
女子美染織コレクション展Part13では、本学が創立100周年記念美術資料収集拡充事業の一環として収集したイカット類と、竹内葉氏旧蔵のバティックコレクションを中心に、手仕事の中で受け継がれてきたインドネシアの技法とデザイン、南洋の色彩豊かな染織品の数々をご紹介します。
