ヨーロッパ・西アフリカ・日本という3つの異なる視座から文化を見つめ、口頭伝承が豊かに息づく社会を調査するかたわら、人々の暮らしの道具からうかがえる世界観を洞察した人類学者・川田順造(1934-2024)。1970年代、夫の川田の調査助手として西アフリカのサバンナの国・ブルキナファソで3年半生活し、帰国後は独自の「うつわ」の制作により国内外で高く評価されてきた陶芸作家・小川待子(1946-)。ふたりが主に現地調査のなかで集め、日本に持ち帰ったさまざまな手仕事は、1980年代にその一部が公開されて以来、長らく展観の機会がありませんでした。本展は、エッセイの名手でもあった川田の『サバンナの博物誌』などに記された言葉を手がかりに、600件をはるかに超える夫妻のユニークなコレクションから約350件を選び、ご紹介するものです。ひょうたんを活かした椀や儀礼用の楽器、草編みのかごをはじめ、藍や泥などで染めた布、素焼きの壺、木彫の仮面や椅子、さらに絵画など、サバンナの人々が生み出した精緻でダイナミックな造形の世界をお楽しみください。

展示構成

イントロダクション:いろどる――赤、白、黒
アフリカに限らず、世界各地の文化で重要な位置を占める色、赤と白と黒。本展のイントロダクションでは、おもにサバンナの土や草木などによってこれらの色を与えられた草編みや革の小物、布などを紹介します。

1.アフリカとの出会い
第1章では、1960年代の川田順造とアフリカとの出会いや、妻となった小川待子とともに訪れた北アフリカ・チュニジアを起点とする「マグレブ」への旅に着目します。小川が旅先で描きとめ、のちに川田の雑誌連載「マグレブ紀行」の挿絵にもなった、みずみずしいスケッチを初公開します。

2.サバンナに暮らす
1972年からの3年半、川田と小川は、他に日本人が住んでいなかった西アフリカのサバンナの国、オート・ヴォルタ(現・ブルキナファソ)に暮らし、草編みや土器づくりなど、生活に根ざしたさまざまなものづくりの技術を調査する日々を過ごします。第2章では、「ひょうたんの器」、「草を編む」、「土器をつくる」「火の熱さ」の4セクションに分けて、大小さまざまなひょうたんの器、口頭伝承で重要な役割を果たす太鼓、草編みのかごやうちわ、素焼きの壺、真鍮のブレスレットなどを展示します。

3.アフリカの色とかたち
第3章は「布」、「革」、「ビーズ」のセクションから構成されます。手織りの木綿帯を継ぎ合わせ、藍などで染めたブルキナファソの布、マリの泥染めなど、さまざまな表情を見せる西アフリカのダイナミックな染織のほか、クッションなどの革製品、またヨーロッパ人が奴隷貿易の際に使用したことに始まり、やがて西アフリカ現地でも生産されるようになったビーズをご紹介します。

4.海の見える家――ふたりのアフリカ
1980年代末、川田と小川は海の見える高台に家を建てます。それは、ふたりがアフリカで集めて持ち帰ったものとともに暮らす、イマジネーションをかきたてる空間となりました。気の向くまま空間に手を入れ、魅力的に変貌させてきたのは、小川の眼と手です。第4章「海の見える家――ふたりのアフリカ」は、川田と小川の自宅を彩る、気迫みなぎる儀礼用の仮面をはじめ、ユニークなかたちの椅子や子ども用の木彫り人形、太鼓や弓矢、さらには絵画作品など、100を超えるものたちによって構成されます。長い時間にわたって育まれてきたサバンナの手仕事の小宇宙が、垣間見えることでしょう。

展覧会の見どころ

1.西アフリカのさまざまな手仕事を一望できる機会
アフリカの染織やアートに注目する展覧会が開かれる一方、アフリカの手仕事を生活文化として横断的に捉える機会は、近年あまりありませんでした。本展は、ひょうたんの器、草編みのかご、素焼きの壺、多彩な布、そして木彫の仮面や椅子などを一堂に展観し、その手仕事の広がりを見渡すことができます。

2.人類学者・川田順造がのこした珠玉の言葉と写真
会場では、エッセイの名手でもあった川田の『サバンナの博物誌』(1979年)などから抜粋した言葉のほか、川田がフィールドで撮った珠玉のモノクロ写真を厳選し、パネル等でご紹介します。川田の言葉とまなざしを手がかりにしながら、サバンナの手仕事にふれる構成になっています。

3.最終章は、アーティストの小川待子によるディレクション
1970年代の収集を核としつつ、1980年代以降も少しずつ増え続けたアフリカの手仕事、また交流のあるアフリカの作家の作品は、長年にわたり川田と小川の暮らしを彩ってきました。展覧会の最終章となる「海の見える家――ふたりのアフリカ」では、小川待子が空間のディレクションに関わります。自宅の再現ではなく、再解釈としての、あらたなイマジネーションの場が生まれます。小川の近作も2点、さりげなく登場する予定です。

会期:2026年07月11日(土)~2026年09月06日(日)

※会期や入場条件等が変更になる可能性があります。最新情報は公式サイトをご確認下さい。

入場料(個人)
一般 1400(1200)円
65歳以上 1200(1000)円
大高生 800(600)円
中小生 500(300)円
未就学児は無料

※()内は20名以上の団体料金。事前に電話でお問い合わせください。
※障害者の方は500円。ただし小中高大専門学校生の障害者の方は無料。介助者(当該障害者1名につき1名)は無料
※高校生、大学生、専門学校生、65歳以上の方、各種手帳をお持ちの方は、証明できるものをご提示ください。
休日 毎週月曜日
※7月20日(月・祝)は開館、翌7月21日(火)は休館
詳細情報 展示の詳細情報を確認する

世田谷美術館

住所 〒157-0075
東京都世田谷区砧公園1−2
入場料■企画展
内容によって料金は異なります

■ミュージアム コレクション

一般220円(180円)
65歳以上110円(90円)
大高生170円(130円)
中小生110円(90円)

※世田谷区内在住・在校の小・中学生は土曜、日曜、祝・休日及び夏休み期間は無料
※( )は団体料金 団体は20名以上(事前にご連絡下さい。)

■その他
展示室以外の館内施設(ミュージアムショップ、レストラン、カフェ、ライブラリーなど)はチケットなしでご利用いただけます。
開館時間10時-18時
展覧会入場は閉館30分前まで
休日 月曜日(祝休日の時はその翌平日)、年末年始(12月29日〜1月3日)
ただし、展示替の期間中は、企画展・ミュージアム コレクション展示室の両方を閉める場合があります。
公式サイト https://www.setagayaartmuseum.or.jp/