衣服や布を彩る模様。模様は伝統を大切に受け継ぎながら、時の流行に刺激され、新しいものが生み出されてきました。百貨店の松坂屋も昭和のはじめに、国内外問わずさまざまな地域・時代の布地を、小さなハギレにいたるまで集め、新しい呉服デザインを模索してきました。その結果、形成されたコレクションは模様の豊かさ・多様さとともに、模様が作られ変化していく様子を伝えてくれます。
本展覧会では、コレクションにみられる模様を通して意味を探りながら、そこから表われる人々の暮らしや想いにも迫ります。見て楽しいだけでなく、あなたの創造意欲も刺激するテキスタイルデザイン集です。自分だけのとっておきを探す模様の旅に出かけましょう。
松坂屋コレクション
松坂屋コレクションは、松坂屋が昭和6年(1931)から呉服デザインのために集めた染織品を中心としたコレクションのこと。その中身は、江戸時代の小袖・能装束やその裂(きれ:ハギレのこと)、外国の布地や裂など種類は豊富で、全部で約5,000件になります。それらは昭和初期の百貨店から発信する流行模様にも活用され、時代を代表する名品を作るための資料として活用されました。その後、コレクションのうち裂を中心とした約3,500件が平成22年度に名古屋市博物館に寄贈となりました。裂の状態は不完全なようですが、一部でも当時の模様やデザインのおもしろさ、技法の多様さを見ることができます。