“もよう”はなぜ存在するのでしょう。
「シンプルイズベスト」とか「ないほうがモダン」などといわれても、もようは決してなくなりません。目と心を捉えてやまない何かがもようにはあります。
もように日本的な美意識が見られるようになったのは唐風から和様に転じた平安期以降といわれています。そこから今にいたるまで、もようの世界は百花繚乱。丸や菱形に動植物の姿かたちを素敵におさめたかと思えば、降りしきる雨や雪、ゆらめきのぼる蒸気をもようフィルターにかけて眺めたり。花鳥風月に身の回りの品々、化学変化の跡だって、もようとならないものはただのひとつもない。そのどれにも、いつか・誰かの「好き」や「いいね」が宿り、そんなわくわく気分が、もように目を留めた私たちの元にも届けられているようです。
本展は工芸ビギナーから愛好家まで満喫できる近・現代工芸の名品約140 点で構成。
1974 年『紋文帖(もんもんちょう)』の裏表紙でこっそり「悶々」いいながら、生涯をこの仕事に捧げたもよう作りの天才・芹沢銈介(せりざわけいすけ)の特集展示も同時開催。小さな下絵から代表作の屏風まで、どのフェーズも見逃せない約20 点を展観します。
展覧会構成
展示室1 いき・もの ~もようが紡ぐ日々のかがやき
生きとし生けるものへの慈しみは、もよう世界を豊かに彩ります。この部屋ではもようのモチーフ、とくに自然から得たイメージに注目します。もようとして囲み取って賞翫(しょうがん)する習慣の奥には、自然物の生命の輝きを身の回りの品々に写し取り、長寿や富貴、美しさなどさまざまな願いが託されてきました。皆さんの記憶に残るもようにも、誰かの想いがこもっていたかもしれません。#Life #伝統 #想いの深さにグッとくる
展示室2 いっこ・いっぱい ~構成力でもようの魅力を拡張する
工芸のフォルムは機能を適えるために実に多種多彩。そのなかでもようの“数”を定めた作家の視点に迫ります。手前があれば向こうもある白い壺。そこで魚がただ1尾、悠々と泳ぐ余情に浸り、他方では繰り返しパターンが呼び起こすリズムの効果も捨てがたい。もしも、もようの数を変えるならば……。そんな風に想像すると作品の見えかたも広がりそうです。#デザインの力 #どっちが好き? #最適解に挑戦する?
展示室3 きっちり・どっきり~もようを生み出すわざに震える
工芸といえば匠のわざ。作者の素材技法への深い理解とパッションがこのジャンルを際立たせ、こどもたちにも「カッコイイ!」といわせる魅力を放ちます。緻密な計算に基づく挑戦は、ときに破綻ギリギリとも見える大胆さを導きますが、優れた作品ほど両者を行き来するもの。優美なもようのなかでも起きている“事件”の数々。これは見逃せません。#物理とか化学とか #ともかくすごい #カッコイイ
ほかにもイロイロ くつろぎタイムや帰り道にも ~五感で広がるもようワールド
ラウンジの設えには人間国宝・黒田辰秋が手がけた長椅子と、彫刻家イサム・ノグチがライフワークとしたAKARI シリーズの照明をご用意しました。寄りかかった背もたれに深く彫り出される花文のぬくもりや、もよう越しに広がるおだやかな陰影は、きっと皆さんの感性を心地よく刺激することでしょう。展覧会のあとは、ぜひ裏庭にも足を伸ばして、橋本真之による《果樹園―果実の中の木もれ陽、木もれ陽の中の果実》のまわりをそぞろ歩いてみませんか。10 年がかりの大きな大きな金属ボディに大小無数の丸があますところなく穿(うが)たれた迫力のもようワールドは唯一無二。内部の「木もれ陽」もようも要チェックです。
