絹織物のブランドとして全国的な知名度を誇る丹後ちりめん。そのはじまりは享保5年(1720)と伝わり、本年は創業300年の節目にあたります。本展ではこれを記念し、300年の時を刻んできた「はたおと」や民謡としての機織り歌に代表される、丹後の暮らしの音風景(サウンドスケープ)を糸口にして、丹後ちりめんと生きた先人たちの暮らしのあゆみを振り返ります。
また、この春は新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、全国各地で祭りや行事を自粛する動きが広がりました。これにともない、丹後においては地域に活気を呼び寄せる祭囃子や神輿を担ぐ勇壮な掛け声、それらを迎える人々の歓声を耳にすることができませんでした。この経験を通して「まつりのおと」が地域の暮らしに欠くことのできないものであることを再認識された方も多いのではないでしょうか。
本展が丹後の暮らしの音風景を見つめ直す機会となり、丹後ちりめんの新たな価値や魅力を発見することにつながれば幸いです。