大正から昭和初期に女学生を中心に大流行した「銘仙」(めいせん)。
平織りの絹織物で「絣(かすり)」と呼ばれる経糸と緯糸をズラして織る技法により生み出された、色の境界が滲んだような表情が特徴です。色とりどりでかわいらしいデザインも多く、現在ではアンティーク着物としても高い人気を博しています。「ファッションは時代を映す鏡」といわれるように、銘仙の紋様や着こなしから、社会情勢や女性のライフスタイルの変化など、当時の世相を垣間見ることができます。
本展では、桐生正子氏(銘仙コレクター・研究家)のコレクション約600 点の中から選りすぐりの着物約60 点や関連資料などを展示し、レトロモダンな銘仙の魅力をご紹介します。
展示構成
第1章 Neo Classic…日本の伝統紋様を新解釈した古典プラス柄
明治時代、日本の伝統柄が西洋文化の影響を受けて、大胆に、カラフルに変化しました。
その流れを受けた新しい伝統文様のグループ。新しさもあるけど、目になじんだ文様は多くの女性に好まれました。
第2章 Girlish…ロマンチックな西洋風の花や蝶や小鳥たち
西洋文化の洗礼を受けた女学生たちに好まれたロマンチックな柄。西洋の花々、蝶、小鳥、リボン、チェック…。昭和初期には少女雑誌も大ブーム。女学生独自のサブカルチャーも生まれ、高畠華宵など人気画家の影響も受けたようです。
第3章 Geometric…新しいアートの潮流を汲んだ幾何学模様
昭和初期、職業婦人として働く女性たちに向けて百貨店は新しいイメージの銘仙を
つくるプロジェクトを立ち上げます。そのデザインを担っていたのが当時の前衛アーティストたち。
世界的に流行していたロシア・アヴァンギャルドの影響を受けたデザインの着物も数多くつくられました。
第4章 Kitsch…時代やブームを読み込んだ楽しい意匠
世相や時代を織り込んでいた銘仙。南方への憧れを椰子の木柄に織り込んだり、太平洋航路の就航を祝ったと思われる柄も。楽しい柄だけでなく、戦争が激化する中でつくられた銘仙柄もあります。
出品内容
銘仙約60点(うちコーディネート展示約20体)、図案の原画、生地見本、当時のポスターなど