ローラ・デルヴォー「無題」

普段はテキスタイルアートや着物、ファッションなど前面に出したポスターの多いJAPAN TEXTILE NEWSですが、ちよっと異色のポスターに気が付いた方がいらっしゃるかもしれません。7月16日からアーツ千代田 3331で開催されているポコラート世界展「偶然と、必然と、」のポスターです。

同展はポコラート事業10周年を記念し、世界6地域(アジア・ヨーロッパ・アフリカ・北米・中南米・オセアニア)の46市町村50名による240点余の創作が集結する展覧会です。世界22ヶ国から「美術」という枠にとどまらない創作物を集め、多様な地域性や文化を反映しながらも、作者の内なるエネルギーが形となって現れた唯一無二の表現を一堂にご覧いただける機会です。

展示は、1.宇宙のこころ[内なる人格と仮面]/2. 宇宙のうごき[行為からかたちへ]/3.宇宙のからだ[身体生命の謎]/4.宇宙の種類[取り巻く環境からかたちへ]/5.宇宙の成り立ち[共振するいのち]/6.宇宙の記憶[時空を超えた記憶への旅]と6つのテーマで構成されています。

障害を持った方の作品というとどんなものを思い浮かべますか?「困難に負けずに頑張っている人の作ったもの」「助けてあげなくてはいけない人が作るもの」と思う方もきっといると思います。

「アール・ブリュット」「アウトサイダー・アート」というキーワードはご存じの方もいるかもしれません。障害を持った人の作り出すアート作品は常識 、偏見 、社会的判断といったあらゆる既存の価値観から解き放たれ た、時に常軌を逸した「生の表現」です。

初めてご覧になる方はきっと作品のパワーに衝撃を受けると思います。障害ゆえの独創性や無垢な集中力、色使い、密度、スケールに「こんな風に表現することかできたら」「こんな集中力が自分にあれば」と思うかもしれません。いかに自分がとらわれていたかに気が付くと思います。

「マスク」「ソーシャルディスタンス」「働き方」「暮らし方」コロナ禍の中でこれまでよりも気にしなければいけないことが増えました。ポコラート展の突き抜けた作品を見たら、なんだかスカッとした気持ちになれるんじゃないかと思います。

アール・ブリュット(art brut・仏)/「brut」は「生(き)の、加工されていない」、「art」は「芸術」を意味します。専門的な美術教育を受けない人びとによる自由で自発的な表現を指します。
アウトサイダー・アート(outsider art・英)/元は「アール・ブリュット」の英訳。いわゆる美術界の主流には影響されずに独自に生み出される表現を指して使われます。

ポコラート(POCORART)とはPlace of “Core+Relation ART”障害の有無に関わらず人々が出会い相互に影響し合う場所であり、その場を作っていく行為を示す名称です。千代田区に位置するアートセンター、アーツ千代田 3331の立ち上げと同時に始まりました。アート作品やワークショップ企画の公募、福祉と美術を考えるトークイベントなどを全国に向けて発信し、作者や作者を支える多くの方々のメッセージを受け取り、表現・発表・評価環境の改善に取り組んでいます。

テキスタイルに関連する作品の紹介

糸や布を使った作品、テキスタイル周辺のモチーフの作品もいくつかありますので、一部を紹介させていただきたいと思います。

ローラ・デルヴォー 《 無題 》
さまざまな糸でぐるぐる巻きのマリア様
マルク・モレ 《 ママンのコラージュ 》
お母さまの裁縫道具を固めてあるそうです
エズキエル・メスー 《 無題 》
ミシンのアイディアがたくさん!

ユリア・クラウゼ=ハーダー 《 無題 》 (上左) 《 無題 》 (上左) 《 ジュラヴェナトル 》 (下)
テキスタイルを利用した恐竜とパッチワーク
二・タンジュン 《 無題 》
テキスタイルではありませんが民俗芸術を思わせる作品
武田 拓 《はし》
これはどうやって作っていると思いますか?答えはぜひ会場で確認してください。