平凡社出版「住まい学エッセンス」第一回配本分。1988年に初版された「バスケタリーの定式」に、新版用あとがきと解説を大幅に加筆するとともに、参考書籍、ギャラリー、美術館情報などを現状に合わせて更新した。繊維の立体造形についての理論を著者の経験に即して具体的に記述したもの.組織構造の理論を定式として捉え、表現上の多様な要因をそれとどのように絡めるかを多角的な視点で解説。繊維以外の工芸的造形に関心のある方にも役立つ。
目次
Ⅰ バスケット・コネクション
「バスケット・コネクション」万歳/新聞紙の「たて・よこ関係」
かごと織物の出合い/⼯芸再発見/「なんでもできると何もできない」
Ⅱ バスケタリーの定式
かごの構造力学/創作と定式/分類表の読み方/かごと鳥の巣
Ⅲ 自然な関係
自然な関係/マテリアルとメディアム/紙紐作戦
Ⅳ 定式の自由
基本の見なおし/型にはまらない型の話/道具と身体/網杓子の使い方
⺠具と創作/ノートブック
Ⅴ かたちの自由
かたちの記憶/容器のかたち/かたち自由自〈材〉 /かたちと大きさ/ふたたび定式の自由
Ⅵ 日常と創造
あなたはアーティストですか
グロサリー/参考文献
「同じかごの中」 あとがきにかえて/改訂版あとがき/新版あとがき
解説 原理を編む 島崎慶子
関島寿子(せきじま・ひさこ)
かご製作者、多摩美術大学美術学部生産デザイン学科客員教授。
1966年、津田塾大学英文科卒業。1975-79年、ニューヨークに在住中アメリカ先住民の技法を学ぶとともに、現代的アプローチをエド・ロスバックやジョン・マックウィーンから学ぶ。ヴィクトリア&アルバート博物館«Japanese Studio Craft»(1995)、ジャパン・ソサエティ・ギャラリー «Fiber Futures: Japan’s Textile Pioneers»(2011)、東京国立近代美術館工芸館「現代の座標——工芸をめぐる11の思考」(2012)、広島市現代美術館「交わるいと——「あいだ」をひらく術として」(2017-18)などに出品。著書『Basketry』(講談社インターナショナル1986)『自然を編む』(創和出版1988)ほか。
新シリーズ「住まい学エッセンス」とは
「住居・建築・まちを探検するコンパクト・ブックス」として、積水ハウス「住まいの図書館出版局」より1987年から2014年にかけて刊行されたシリーズ「住まい学大系」は、建築家による設計プロセスの精緻な表現、住居をめぐって掘り起こされた歴史、住まい手による生活記録の集積から建築批評に新たな視座をもたらし、ジャンルをこえ幅広い読者を獲得しました。平凡社では惜しまれながら絶版となった「住まい学大系」のなかから読み継がれるべき書を精選、新たな顔ぶれも加えた新シリーズ「住まい学エッセンス」を2024年夏より刊行開始します。