スプラングは基本形3種と豊富な変化形をもつユニークな技法です。一つ一つはシンプルな作業の繰り返しですが、現れる布の表情は驚くほどに多種多様、そして自由自在です。3000年以上の歴史があり、かつてはユーラシア一帯、中近東、アフリカ、中南米など世界各地に広く知られていました。特にペルーアンデス地域では世界で最も複雑精緻なさまざまなスプラング裂が2000年以上前に作られています。
その特徴はまず、織と違ってヨコ糸を必要としません。上下2本の棒のあいだにタテ糸を一筆書きのようにセットして、隣り合う糸と糸を互いにからめたり交差させて布を作ります。上下両方の端から同時に編み目が仕上がり、伸縮性に富む、軽やかで透け感のある質感になります。また途中から自由に編み目を変えたり、斜め模様が簡単にできるなど、ほかの技法とはひと味違う魅力にあふれています。さらに素材、配色、糸の太さなどの組み合わせ方で豊かなデザイン表現が可能です。シンプルでユニーク、思いがけない発見に満ちたスプラングのテキスタイル世界を体験してみませんか?
本展では、南米アンデスのナスカ文化期に作られた古代スプラング裂を復元したレプリカを特別展示いたします。これは当時のアンデスの人々が、実際にどのような方法でスプラングを作っていたかを考察し、試作を重ねた検証となります。現在ではユーラシア大陸系の竪機式フレームを使う方法が一般的ですが、古代アンデスではおそらくは水平式の腰帯機を使ったと推定し、糸のセットの特殊性から糸操作と作業の実際、仕上げ方まで全体の手順工程をパネルにまとめています。
また会場内ワークショップもあります。8日(土)~11日(火)の4日間 13時30分から15時30分、定員各3名 会費2500円(材料費込)ユパンキ工房まで事前予約をお願いします。


