ある作品を見た時、「えっ?」「おっ!」「うわぁ…」と感じたことはないでしょうか?こうした言葉にならない「心のざわめき」は、作品をよく見るための大切なきっかけとなるはずです。本展は2021年に開催した展覧会「ざわつく日本美術」の第2弾。思わず「心がざわつく」ような展示方法や作品を通して、目や頭、心をほぐし、「作品を見たい!」という気持ちを高めていきます。
今回のテーマは「ぎゅうぎゅうする」「おりおりする」「らぶらぶする」「ぱたぱたする」「ちくちくする」「しゅうしゅうする」の6つ。まだまだ知られていないサントリー美術館のコレクションを通して、作品を「見る」という行為を意識して愉しみながら、日本美術のエッセンスを気軽に味わっていただける展覧会です。
作品との出会いによって沸き起こる、自分自身の「心のざわめき」に耳を傾けると、日本美術の魅力にぐっと近づけるような、意外な発見があるかもしれません。
布好きにおすすめは<<第1章>>と<<第5章>>
<<第1章>>ぎゅうぎゅうする
―あれもこれも!?「 ○○尽くし」デザインをひとつ残らず知り尽くす
宝尽文筒描蒲団地(前期)、唐獅子牡丹額絵に宝尽文筒描蒲団地(後期)、組み合い角に五三桐紋貝桶貝尽文筒描蒲団地(全期)の展示があります。
<<第5章>>ちくちくする
―手は口ほどにものを言う!? ひと針ひと針に表れた刺し手の気持ち
針と糸を使って手を動かすことで自分の心が整っていく。手芸好きな人であれば誰しもそんな経験があるでしょう。本章で取り上げるのは、現在では手芸の一分野としても知られる「津軽こぎん刺し」です。
津軽こぎん刺しは江戸時代後期以降、現在の青森県津軽地方の農村の女性が育んだ技法のこと。1mmにも満たない麻布の経糸を奇数目に拾いながら、緯糸にそって木綿糸を刺し綴るという作業を一段ずつ繰り返すことで、織物のように美しい幾何学模様を表しています。こうした模様を構成するのは、「モドコ」と呼ばれる基礎的な単位模様です。約40種あるとも言われるモドコには「てこな(蝶)」「べこ(牛)刺し」など、女性たちの身近にあった物の名前が付いています。
第5章では、実際の作品に表されたモドコを観察したり、その模型に触れることで、モドコの名前や形に親しみます。面白いことに、モドコにはしばしばアレンジや刺し間違えが見出せます。小さなモドコの細部を見ていくと、刺すことの喜びやちょっとした苦しみなど、刺し手の気持ちに近づけるかもしれません。
