文化交流展示情報 開館15周年記念特集展示

室町時代以降、茶の湯の広まりとともに、舶来の古くて美しい染織品を蒐集しゅうしゅうする文化が花開きました。それらのきれ(織物)のうち16世紀ごろまでに日本に渡ってきていたものは、茶人に愛され名物と極められたことから「名物裂めいぶつぎれ」と呼ばれています。

加賀かが・前田家第3代の前田利常まえだとしつね(1593−1658)は、文化政策に力を入れ、百万石で名高い加賀文化の礎を築いた人物です。茶事に通じた利常は、茶の湯を彩る裂も積極的に蒐集しました。当館の所有する前田家旧蔵の裂帖きれちょうは、利常が長崎・平戸などで集めた裂を貼り合わせたもので、墨跡ぼくせき表具ひょうぐに用いる印金いんきん金襴きんらんなど絢爛けんらんとした格式高い織物が数多く納められています。

この裂帖の修理完了にあたり、前田家に伝わった織物を中心に、名物裂のすいを集めた展示を行います。日本人が魅せられた美しい織物の世界をご堪能ください。

第1章 織物に魅せられて

茶道具のうちとりわけ古い由緒をもち、名茶人遺愛の品であるなどの素晴らしい伝来を持つ逸品を「名物めいぶつ」と言います。名物と極められた道具には、伝来や姿に即した名が与えられることが多く、この名物に沿う染織品のことを名物裂めいぶつぎれと呼んでいます。17世紀以降は、裂自体が鑑賞の対象として扱われるようになり、名物として名前が与えられた織物も出来てきました。ここでは前田家旧蔵のさまざまな織物を通して、名物裂の多様さをご紹介します。

第2章 鴻池こうのいけ家の家宝・裂箪笥

この裂箪笥は大坂おおさかの豪商・鴻池家に家宝として伝来したものです。中には87種もの織物が収められており、いずれも茶器を包む袋「仕覆しふく」に用いられたもので、名織物が揃っています。
茶道具にどの裂を取り合わせるかは茶人としての腕の見せ所とされました。鴻池家は茶の湯に通じた家柄で、この箪笥の素晴らしい織物の数々からは、その審美眼の確かさがうかがわれます。いずれも名品ですが「ねぬけ」と称されるとりわけ古手(中国・元代)の裂も含まれるなど、富家の家宝に相応しい一級の資料です。

第3章 書画を彩る裂

裂帖きれちょうとは、裂を貼り集めて冊子に仕立てたものを言います。前田家には、軸物の表装ひょうそうに用いるための裂を集めた裂帖が4冊伝わりました。ここではそのうち個人蔵の1冊と、九博所蔵の1冊をご紹介します。九博の裂帖に貼り込まれる裂は、印金や金羅きんら金紗きんしゃが揃います。これらは格の高い墨跡ぼくせきの表具に使用されるために蒐集しゅうしゅうされた織物で、現在も絢爛けんらんたる輝きを放っています。九博本は裂の保存のために現在は38面に分けて保管されており、この展示を期にそれらを前後期に分けて一挙公開いたします。(一部は基本展示エリアにて公開)

その他の見どころ

本展では、現在も裂の愛好家に愛される前田家伝来の裂や、金襴の源流といえる中国・金代の貴重な織物を紹介します。

会期:2020年12月01日(火)~2021年01月24日(日)

※会期や入場条件等が変更になる可能性があります。最新情報は公式サイトをご確認下さい。
⇒ 来場時の注意事項を確認する

備考 前期:令和2年12月1日(火)~12月23日(水)
後期:令和3年1月1日(金・祝)~1月24日(日)
*本展は一部を除き、作品を前期・後期で展示替えいたします
詳細情報 展示の詳細情報を確認する

九州国立博物館

住所 〒818 - 0118
福岡県太宰府市石坂4 - 7 - 2
入場料■文化交流展

大人 700円
大学生 350円
※特別展は別料金となります(特別展の料金で文化交流展もご観覧いただけます)。
※詳細については、各特別展の案内ページを参照ください。
※チケット販売窓口では下記の電子マネー及びクレジットカードがご利用いただけます。

無料の方
*下記の方は無料でご観覧いただけます。展示室入口にて下記の証明書をご提示ください。

文化交流展(平常展)
・障害者手帳等(*)をご持参の方およびその介護者1名 障害者手帳等(*)をご提示ください。
・障害者手帳アプリ「ミライロID」も使用できます。(*2)
・高校生以下 生年月日がわかるもの(生徒手帳、健康保険証、運転免許証等)をご提示ください。
・18歳未満
・満70歳以上
・ キャンパスメンバーズ会員 学生証、教職員証等をご提示ください。
(*)身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳、特定疾患医療受給者証、特定医療費(指定難病)受給者証、小児慢性疾病医療受給者証
(*2)障害者手帳アプリ「ミライロID」の詳細は、 株式会社ミライロのホームページをご参照ください。
開館時間9時30分〜17時00分(入館は16時30分まで)
*毎週金曜・土曜日の夜間開館は実施しません。
*閉館時間は変更されることがあります。
休日 月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は翌日)
公式サイト https://www.kyuhaku.jp/