絣とは、糸をあらかじめ染め分けてから織ることで、布地に文様を表す織物技法のひとつです。「弓浜絣」や「久留米絣」など、特定の産地で作られる布の名称としても知られています。
民藝運動の父・柳宗悦は、雑誌『工芸』第20号(昭和7年)において、絣について次のように評しています。
「思い様によっては絣は不自由である。染めれば楽に出る模様でも織り出すのは容易でない。それも模様だけ色を変えて出すのである。考えるより手間がかかり、注意が入り、技術が要る。(中略)月並な拙い原画でも、圓(まる)みが出てくる。冴えた走った画でも、角がとれて罪がなくなる。絣の美しさはそこから生まれている。」
また倉敷民芸館初代館長で染織家の外村吉之介も、岡山で収集した鶴亀文様布団地を例に挙げ「このような模様絣を一般に絵絣というけれども、美術的な絵画を求めたものでなく、工芸的な仕事で模様になりきっているので、模様絣と呼ぶべきである。そして模様化によって物の真髄が現われ、美しさも高められていることに注目せねばならない。生活に結びつく美しさは、工芸的模様になりきらねばならぬことを、この鶴亀はまざまざと示している。」と著書の中で述べています。
同館が所蔵する絣は726点を数え、本展ではそのうち産地が判明している日本の絣290点の中から約100点を選び展示いたします。いずれも主な収集者は外村で、山形県から沖縄県にかけて、明治から昭和時代に制作された品々です。
絣の魅力を通して、日本各地を旅するようなひとときをお楽しみいただけましたら幸いです。
