藤田嗣治は生涯、染織品や衣装を愛し、自ら収集した品を手元に置いていました。それらの布は、絵の重要なモチーフとして藤田の描いた作品のなかにたびたび登場します。藤田が心を寄せた布は、実際に着たり使うなどされたもので、庶民の暮らしの中の布でした。
本展では、フランス・エソンヌ県にあるメゾン=アトリエ・フジタが所蔵する藤田が日本滞在中に収集した布や着物を、布が描かれた1930年代の藤田作品とともに紹介。日本人の生活に根ざし、藤田が愛着をもって接していた衣服や小物を展示し、日本人の営みを描いた藤田の画業に、布という工芸品からアプローチします。