「金唐革紙」は、中世ヨーロッパで王侯貴族の城館の壁、天井などに使われた装飾革である金唐革を、明治初期に和紙で模造した「擬革紙」の一種である。壁紙としてヨーロッパへ盛んに輸出された他、鹿鳴館をはじめ明治期から昭和初期にかけての近代建築の壁などを彩りました。昭和中期に、金唐革紙の製法は一時途絶えましたが、上田尚氏が金唐紙研究所を創設し、当館所蔵の金唐革紙製作用版木ロールなどを用いて「金唐紙」として復原しました。現在は国選定保存技術者に認定され、各地の重要文化財建造物の金唐紙製作に携わられています。
本企画展では、金唐革紙制作に用いる精緻な彫刻を施した版木ロールや明治時代に製作された金唐革紙の見本など、当館所蔵資料を中心に展示すると共に、上田氏が復原・創作された金唐紙作品も併せて紹介いたします。