昨年、秋の奈良を訪れました。正倉院は西域からの渡来品の宝庫。所蔵されている御物にはペルシャ起源のものが多く、染織品の文様の中にも日本のものとして親しんできた意匠を沢山見ることができました。奈良で日本とペルシャの繋がりを目の当たりにして私の胸にこみあげてきたものは、日本人といっては大げさかもしれませんが自分の中にあるルーツと出会ったような懐かしさです。
今年の展示会では、ミーリー工房とソレマニエ・フィニィ工房のペルシャ絨毯の文様の中に日本の文様の記憶を辿りたいと思います。ササン朝ペルシャに起源をもつ花鳥文や、ペルシャからアジアの各地域に拡がった獅子文様など。絨毯には日本の文様の源流が宿っているからこそ日本の住まいによく馴染むのでしょう。ペルシャ絨毯に造詣の深い方も、未知の世界である方もこの機会にご覧いただきたく思います。そしてお気に入りの一枚と出会えましたら、歴史と文化と共にお持ち帰りいただけたら幸いです。
シルクラブ西村 はなこ