日本の染織文化史に沿って、冠位十二階制を始めとする位階による服色や王朝の彩色など、古代染織から現代に至る各時代の色の再現や、創作による染織品が展示され、パネル解説によって植物染色の変遷を知ることができます。また、さまざまな染料植物による見本糸は、身近に生育する草や木によってすばらしい色彩に染め上げられています。
草木染作品の鑑賞を通じて、植物の持つ色の優しさや奥深さを感じることができ、「自然の色」の豊かさを楽しむことができます。
展示概要
「夏から秋へ」というテーマに沿って、季節を表わした配色や、季節を感じられるモチーフが表現された作品を展示します。
襲の色目からは「蝦手紅葉(かえでもみじ)」という名のついた色の組み合わせをご覧いただきます。また「紫根絞り赤子着」、「黄丹の御袍(おうにのごほう)を召した立ち雛」は、今回初めて展示します。
今回の展示でご注目いただきたいのは、こちらも初展示となる「萌葱色公家着物」です。刺繍糸と金駒縫(きんこまぬい)で楓、萩、菊などの秋の植物の図案が表現されており、身分の高い女性に仕えた女官の着物ではないかと推測されます。地色の萌葱色や、刺繍糸は、藍と黄色染料の重ね染め、楓の葉などの刺繍糸は紅花染によるものと思われます。