イランを中心に西アジア地域に展開するカシュガイ族やクルド族といった遊牧民は、伝統的に、部族ごとの紋様を織り込んだ羊毛織りの塩袋(ナマクダン)を制作・使用してきました。家畜群の制御など生活に不可欠な役割を担う“遊牧民にとっての塩”を物語る好資料として、当館では過去2回の特別展で塩袋を紹介しました。今回は、過去2回と同じ丸山コレクションから、絨毯より素朴で織りも粗く、遊牧民本来の生活具としての味わいがある昔のギャッベを中心に未公開作品を選定し、塩袋と合わせ、現地でも入手不可能な百~数十年前の毛織物の深い色合いと意匠の世界を紹介します。
2022-02-02