木綿は、私たちの暮らしの中で当たり前に使われている身近な素材ですが、日本では江戸時代にワタの栽培が広まるまでは舶来の希少品でした。それまで麻の服や布団で暮らしていた庶民の衣生活は、暖かく柔らかい木綿の普及により、画期的に豊かになったのです。現在残されている古い木綿の染織品の多くは藍染ですが、これは藍が木綿に良く染まるためです。しかし、先人たちは染料を選んだり染色の方法を工夫しながら藍以外の色も楽しんできました。
本展では絹とは異なる木綿の染色に目を向けます。また、麻や紙など木綿以外の植物繊維による染織品も紹介します。植物染色の生み出す色彩をご覧ください。