深い青白の布に染め抜いた、蝶や花等自然をモチーフにした素朴な文様。
質朴の中に品格のある中国の更紗とも言われるこの工芸『藍印花布』は中国の南方を中心に古くから庶民に親しまれてきた布です。しかし歴史の流れにいつしか藍印花布は、再生と衰退を繰り返し、中国の人々も忘れつつありました。
現代は芸術や文化的な価値が認められ南通藍印花布印染技法も中国における【国家級非物質的文化遺産】(2006年)に登録されました。
1955年、偶然日本で行われた中国骨董見本市で一反の藍印花布と出会い、その後、文化の保護と普及に尽力したのは一人の日本人女性、久保マサでした。
久保は、1970年〜80年代、人々が藍印花布をどのように生活に取り入れていたか中国の山奥や農村地帯を長い年月をかけて訪れ聞き歩きました。
1972年より日本と中国に多くの『藍印花布』を蘇らせた中国人と日本人の物語。それらを実際の古布や当時の写真を交えて、一枚の布の力が現代に蘇る迄のストーリーをお届けします。