絞り染めとは、布を糸で縫い、縛り、括り、あるいは布そのものを折り畳んで強く引き締めることで防染し、模様を染める技法です。世界中には様々な絞り染めが存在しており、それらは、各地の文化や風土の中で育くまれ、地域性豊かな発展をとげてきました。特に日本はおよそ100種余りという、世界においても驚くほどに多くの技法が生み出された国です。こうした絞り染めの技法は、産地で受け継がれるのみならず、作家達の手により表現技法として新たな魅力を発揮しています。
本展では、安藤宏子氏が見出してきた国内外の絞り染め作品と併せて、氏自身の作品をご紹介します。九州の豊後絞り・筑前絞りや愛知県の有松・鳴海絞りに加え、海外からはインドの色とりどりのターバンやヴェール、アフリカの力強い腰布。そして、安藤宏子氏による、多彩な技法を活用した自由闊達な作品の数々。過去から現代まで、時代や地域を超えて広がる、絞り染めの世界の魅力をご覧いただきます。