内容紹介
アンデスの織物とクレーを師と仰いだバウハウスの織作家であるアンニ・アルバースがナチスによるバウハウスの閉鎖後アメリカへ移住し、アメリカの現代美術に多大な影響を与えたブラック・マウンテン・カレッジにおいて展開したテキスタイルデザイン及びテキスタイルアートの教育、研究、制作について論じられたものです。また、バウハウスの織工房とその教育内容、織工房におけるクレーの教育、クレーの作品と織物の関わりについて具体的に、さらにアンデスの染織が当時のプリミティズムの評価に基づく現代美術への論議の確立に大いに寄与したという点についても述べられています。
著者略歴 ヴァージニア・ガードナー・トロイ
20世紀の染織を視覚的、技術的、文脈上の意義という観点から研究する美術史家である。アンデスの染織を賞賛し収集している20世紀のデザイナーに関心を寄せている。染織展のキューレーションを行い、さらに記録保管所及び博物館の染織品収蔵の指揮をするなど広範囲な活動を行う。トロイはウルフソニアン博物館、アスペン研究所、ハンビッジ創作美術センターの研究奨励金を授与された。ジョージア州ベリー・カレッジ美術史准教授
訳者略歴 中野恵美子
織造形作家 /元東京造形大学教授/立教大学文学部英米文学科卒業/ 東京造形大学テキスタイルデザイン専攻卒業/クランブルック・アカデミー・オブ・アート修士課程修了(USA) /ファイバーアート・インターナショナル(USA)等で受賞/桑沢学園賞
訳者からのメッセージ
アンデスには紀元前からイメージ豊かな素晴らしい織物が制作されていました。しかもそれらは後帯機という簡単な織り機によるものでした。そして現代デザインの基礎を作り上げたバウハウスの織工房の作品制作の教科書代わりになっていたということです。
今日ファイバーアート、テキスタイルアートと称されている繊維による芸術表現活動の背景を知る上で興味深いことが書かれています。