リュイユとは、毛足の長いフィンランドを代表する伝統的な織物です。
15世紀にはすでに寝具として用いられ、その後は壁掛けやベッドカバーなど室内装飾として暮らしに取り入れられてきました。初期は装飾のない無地が多かったリュイユは次第に文様が複雑化し、幾何学な文様や祈りを込めたモチーフなどが見られるようになっていきます。
1879年に設立されたフィンランド手工芸友の会は伝統的な手工芸を保存し活かす事を掲げ、デザイナーと優秀な織手との豊かな関係を築いていきます。さらに、1900年パリ万博のフィンランド館に画家アクセリ・ガッレン=カッレラによってデザインされた ≪炎≫ が展示された事で、一時衰退とも思われたリュイユ復興の大きな転換点となりました。このパリ万博での成功を受けて、同時代の作家たちは新しいデザインに取り組むようになっていったのです。
その後、多くの画家やデザイナーによってデザインされるようになったリュイユは時代の変化とともに造形も素材も多様化し、現代でも創作手法のひとつとして受け継がれ表現の広がりを見せています。
その中でもトゥオマス・ソパネン・コレクションは、フィンランド国立博物館と並び称されるリュイユの有数のコレクションであり、古い時代から現代の作品までを所有していることでリュイユの歴史と変遷をたどることができるのが特徴です。
本展は、トゥオマス・ソパネン・コレクションの日本初公開となった京都国立近代美術館に続き、2館目の会場となります。主に1950年代以降に制作された、特に色彩表現の豊かな作品を中心に厳選した作品約40点を展観いたします。