染色家である小山もと子(1918-2001)は、台所を工房に、写生から染めまですべて自分で作り上げる独自の技法「富士の型染」を確立し、富士市を中心に制作活動と普及につとめました。その作風は、身近な草花や郷土の自然、心象風景などが多く、富士に生きる私たちにとってはどこか懐かしく、初めて見る方にはまるで寄りそうような作品を数多く生み出しました。
今回は、平成29年にご遺族から当館へ寄贈された作品群の中より、日々様々な姿を見せる富士山を描いた作品、約30点を紹介します。富士山の一瞬の姿を見事に表現した型染の世界を、どうぞお楽しみください。