多様な織と繡(刺繍)は、染織品の加飾技法の中でも古くから日本では格式高いものとして捉えられました。また時代がくだると、刺繡は染と組み合わせられて小袖を彩り、重厚な織は能装束に多用されました。 根津美術館のコレクションの礎を築いた初代根津嘉一郎(1860~1940)は、古美術品の豪快な蒐集で名を馳せましたが、その意欲は染織品にも向けられました。本展覧会では、嘉一郎の蒐集品を中心に、法隆寺や正倉院伝来の上代裂、袈裟や打敷などの仏教染織、唐織や縫箔といった能装束、そして江戸時代の小袖まで、幅広い時代の染織品の中から、織と刺繡の技が光る作品をご紹介いたします。 一年で最も大きな節目である年末年始、華やかかつ厳かな染織品の数々をお楽しみください。
2023-11-27