令和3年度は、「赤」をテーマに2回の企画展を開催します。
第2回目は、赤い色「紅(べに)」をライフワークに作家活動をされている吉村晴子さんが取り組む「紅板締め」技法を取り上げます。
紅板締めは、両面に模様を彫った型板で、折りたたんだ長い絹布をはさんで赤で染める技法です。一般的に板締めや型染といった染色では表と裏の染め上がりに違いが生まれますが、紅板締めでは薄い絹布を使用し型板をきつく締めて染めるため、表裏にほとんど違いがなく染め上がるのが特徴のひとつです。江戸時代から明治時代前半にかけて紅板締めを用いた襦袢(じゅばん)や内側に着る着物が女性たちに愛されましたが、昭和初期には技法がほぼ途絶えてしまい「幻の染色」とも言われています。
吉村晴子さんが代表を務める「たかさき紅の会」はこの紅板締め技法の復元に取り組み、2006年に復元成功を発表しました。その取り組みは、繋げていく活動へと転換しています。
2020年からは当園で、植物染料による紅板締め手法の確立を目指して試験染を重ねてきました。技法の復活から伝承への活動を、歴史的資料、研究の記録とともにご覧いただきます。