江戸から金沢までは、信濃の追分宿を経由して北国街道と中山道で結ばれていました。この中山道や北国街道を参勤交代で利用したのは、加賀、越後、信濃などを領国とする大名でした。金沢から江戸に向かうまでにかかった日数は、平均12泊13日だったといいます。宿場で休憩をとりながら、大名たちは江戸への歩みを進めました。
板橋宿は、江戸・日本橋へ向かう前の最後の宿場でした。多くの大名は板橋宿の本陣・脇本陣を利用し、加賀藩は板橋宿平尾に構えた下屋敷で、江戸藩邸にいる家族からの使者や家臣の迎えを受けたり、装束を整えたりしました。板橋宿は、江戸の玄関口としての役割を果たしていたのです。
今回の展示では、参勤交代で江戸と国元を往復した加賀藩、高田藩、松代藩の大名たちと、彼らを迎えた板橋宿の姿をご紹介いたします。展示資料を通して、その当時の人びとの様子をご覧いただき、江戸と金沢を結ぶ“架け橋”であった“板橋”に思いを馳せていただく機会となれば幸いです。
染織関係の主な展示品
- 加賀藩姫君のものと伝わる帯
- 加賀友禅の着物や帯:毎田健治氏の作品
- 江戸手描友禅の着物や帯:寺澤森秋氏の作品
【ミニ企画展】江戸手描友禅 寺澤森秋ー優美な染と技ー(会期:2022年1月18日(火)~2022年4月3日(日)) も開催