ヨーロッパにおける女性のファッションは、長い間、コルセットによって実現される理想的なプロポーションを中心に展開していきました。一方で、19世紀半ばには、様々な思想を背景にコルセットから遠ざかろうとする動きが既に現れ始めていました。こうした動きがモードの上で結実し、コルセットを必要としない新たな女性美が目指されるようになったのが20世紀初頭という時代です。
共立女子大学博物館は20世紀初頭の西洋服飾資料を多数所蔵していることで知られています。本展では、その中でもイタリアに関わりのある二人のデザイナー、マリアノ・フォルチュニおよびマリア・モナチ・ガレンガの作品をご紹介します。彼らは東洋や中世、ルネサンスといった、近代ヨーロッパから時代や地域の隔たるものにデザインの源泉をもとめました。プリント技法の活用やベルベット素材の選択といった共通項を持って活躍した二人はしばしば同列に語られますが、細部を覗いてみるとそこには違いも見えてきます。
この度は、ドレスやコートといった二人の作品を中心に、同時代のバッグや、彼らのデザインに影響を与えたとされる日本の型紙といった資料を交えて展示します。20世紀初頭に二人が繰り広げたファッション・デザインの世界をお楽しみください。