手で一針一針、縫い進めていく「刺繍」。本展は、この刺繍に注目し、中・東欧の民俗衣装、イヌイットの壁掛け、現代の絵本原画やフランスのオートクチュール刺繍といった多彩な作品約 230点をご紹介します。さまざまな分野を横断しながら、時代や地域を越えて、今なお私たちの心を捉える刺繍の魅力を探ります。
第1 章 刺繍と民俗衣装
ルーマニア中部トランシルヴァニアのカロタセグ地方に残る力強さや素朴さが特徴的な刺繍約3 0 点と、伝統的に手工芸がさかんだったスロヴァキアで制作された華やかで技巧性に富んだ刺繍約 3 0 点を民俗衣装を中心にご紹介します。
第2 章 イヌイットの壁掛け
カナダの先住民族であるイヌイットの人々が制作した壁掛けは、2 0 世紀半ば以降、狩猟生活から定住生活への転換を経験するなかで生まれました。犬ぞりや衣服、動物などかつての生活スタイルからとられたモティーフが大胆な色彩と力強い造形で表現されています。
第3 章 刺繍と絵
刺繍の魅力を、独自の視点から深めている
近現代の 作家 の作品を紹介します。
それぞれの「糸で描く物語」をお楽しみください。
【出品作家】
エヴァ・ブラーズドヴァー/エヴァ・ヴォルフォヴァー /ホジェル・メロ/秋山さやか/大塚あや子/ 貝戸哲弥/蝸牛あや/ 樹田紅陽/小林モー子 /武井武雄
第4 章 刺繍とファッション
オートクチュール刺繡は、糸で縫うだけでなく、ビーズやスパンコール、モールやコード、羽根など、あらゆる素材を縫い留めることのできる、専門性の高い技術です。このオートクチュール刺繍の粋を 1956 年創業のパリの刺繍工房メゾン・ヴェルモンの作品を通してご覧いただきます。
特別展示 糸で紡ぐ産業 ―新潟の繊維産業より
繊維産業が盛んな新潟で、近年地域産業のブランド化を進め、着実な成果をもたらしている亀田縞と五泉ニット。 なかなか表にでることのなかった産地の名前を、ひとびとに届けるにはどうしたらいいのか。一般の 方々に直接商品を届ける二つの地域産業の取り組みをご紹介します。