花嫁を彩った色と意匠でたどる、「幸せを願う心」のかたち
婚礼は、人生において最も華やかな通過儀礼のひとつと言えるでしょう。それゆえ、婚礼の儀式には祈りと喜びの感情が満ちあふれています。そしてその心情を表現するために、花嫁を美しく彩る婚礼衣裳や、婚儀に用いられる様々な調度品、そしてその場を演出するありとあらゆるものには、幸せを祈る色や形、模様が用いられました。
本展覧会は、とりわけこうしたことが、美しくも洗練された形で行われていた江戸時代から昭和初期にかけての女性の婚礼衣裳や婚礼のしつらえを紹介しようとするものです。
婚礼に対する日本人の思いと考え方が、これらの品々には表されていて、現代においては遠いものになりつつある、美しい祝いの姿をそこに見ることができるのです。作品を通して日本における吉祥のイメージをご覧いただくとともに、これらを生み出した「幸せを願う心」に思いを馳せる機会となれば幸いです。
*第1章 江戸時代の武家の婚礼
*第2章 江戸時代の町人の婚礼
*第3章 伝統の継承と革新
*第4章 幸せを祈る心
同時開催・ギャラリー展示「佳き日を彩る―現代の婚礼衣裳」(入場無料)
[協力]婚礼衣裳 花内屋、公立学校共済組合奈良宿泊所 ホテルリガーレ春日野
展覧会の会期中、美術館西館1Fのギャラリースペースでは現代の婚礼衣裳や道具を展示します。和装では白無垢や色打掛が定番となりますが、伝統的な色や模様が引き継がれている一方で、従来のきまりごとから一歩進んだ色使いの打掛も加わり、ますます多彩になっています。展覧会で紹介している江戸時代~近代の衣裳とあわせて、その違いや共通点を探しながらお楽しみ下さい。