2013~2019年に当館に寄贈された織物研究家・小林桂子氏の世界の染織コレクションと、氏の織物作品を合わせてご覧いただく展覧会です。
小林氏は、1975年から1981年にかけて米国カルフォルニア州バークレーに在住。この間に、テキスタイル作家の創始者であるエド・ロスバックが提唱した「世界中にある歴史的、民族的な染織品に触発された創作」という思想に影響を受け、自らも過去の作り手による様々な手法を探究し、古くからの技法に新たな命を吹き込んだ織物作品を生み出してきました。
「織」の研究のために収集された資料は実に様々で、日本、中国、中近東、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、中南米、東南アジアと地域的にも製作年代的にも幅があるに留まらず、種類も衣類を始め、織物工場の見本裂、織作業用の道具、籠類、装飾品、民芸品等に及びます。なかには一般的な「鑑賞」の対象にはならないような資料も含まれていますが、いずれも「織組織の研究」という一貫した目的のために収集された品々であることに変わりありません。
その伝統的な技法や文様が、作家の豊かな感性と「遊び心」によって創造された作品の中で、新たな魅力を発する姿をみてゆきます。
小林桂子先生より「織の世界で遊ぶ心」展では、50年ほど、糸と遊びながら布を作ってきました小林桂子の作品と、その制作にインスピレーションを得た世界中の歴史的・民族的な染織品をまぜた展示です。 バスケットや布は、技法や構造が、編・もじり・交差に分類されることから、展示品に三種類の色分けをしてあります。 北米のナバホインディアンや、南米ぺルーの織合わせ織からヒントを得た、四方耳の織物作品群、曲がり織・絣織・多綜絖の機で織る絹のポンチョなど、作品と世界中の布とと一緒に並べています。 11月6日のオンライン講演会では、用途のない布の創始者であるエド・ロスバック氏の時代背景、同時代の現代絵画群、そして70年代・80年代・90年代を通して20世紀のテキスタイルを見ていきます。 |